アメリカ・オレゴン州の大麻ファームから、こんにちは。
OFF Inc.という東京の目黒を拠点とする大麻の会社の代表ヨーダです。
今回は『我々はどこから来たのか、我々は何者なのか、我々はどこへ行くのか』について書いてみようと思います。
(ヨーダのSNS:Twitter | YouTube | Instagram)
大麻でスタートアップ
まずは自己紹介から。
大学から付き合いのある駒形 (通称:こまちん) と2020年に起業、共同代表制で経営し、3年以上大麻の会社を続けてきました。
さらっと大麻の会社と書いていますが、法には触れていません。安心してください。
CBDという大麻の中に含まれる合法な健康成分を取り扱ったビジネスをしています。
大麻は植物ですが、CBDは大麻から抽出、精製され、白い粉の見た目をしています…
CBDを原料の状態で輸入して卸したり、CBDオイルなどの商品を製造受託したり、自社のCBD原料を用いたこだわりの商品ブランドを開発、販売したりしています。
こんな私が、つい最近、会社の節目に改めて考えていた問いがあります。
「なんで大麻の会社を起業したんだっけ?」
背景、原因、理由、動機などいろんな切り口でアンサーが可能なこの問い。
ゆるぎないアンサーは「大麻に出会った」からです。
大麻との出会いは鮮明に記憶しています。
2016年、仕事で滞在していたシリコンバレー(*1)にあるエアビ(*2)で、その家主経由で大麻に出会いました。
エアビのお家に帰るとホストがベランダで友達と楽しそうに煙をくゆらせてるので、なにそれと無邪気に尋ねたのが、私の大麻との出会いでした。
この運命的な大麻との出会いから3年ほど経った2019年に起業を漠然と考えていました。
その折に東京でCBDと出会います。
今振り返ると、このCBDとの出会いは大麻との宿命的な再会だったようです。
これらの出会いをきっかけに、2020年のコロナ禍、OFF Inc.はひっそりと誕生しました。
こまちん視点での創業秘話はこちらをご覧ください。
大麻文化にディープダイブ
起業以降、私の人生は急速に大麻色で染まっていきます。
まず、大麻を通してたくさんの人と出会います。
OFF Inc.には、ムエタイ、ヨガ、ネイリスト、DJ、バンドマン、ゲーマー、ビデオグラファー、スケートボーダーなど、多様なバックグラウンドを持った仲間が集結してくれました。
そんな仲間たちとこれまで大麻のコンテンツとプロダクトをたくさん世に出してきました。
一例を挙げると、創業初期からtokyo mooonという東京発の大麻ブランドを育てています。
tokyo mooonはTOKYO 420というファンの方と運営メンバーとが一緒になって国際的な大麻の日である4月20日を楽しむイベントを2022年から開催しています。
盛り上がってる😊
— 青春大麻くん (@seisyuntaima) April 20, 2023
#TOKYO420 pic.twitter.com/gE9B9F3zyW
コロナ明けの今年のTOKYO 420は渋谷の宮下パークで盛大に開催しました。
パネルトークでは、元厚生労働省の西川さん、明治大学の蛭川先生、早稲田大学の野崎先生にもご協力頂き、350名以上の方を集める大盛況なイベントになりました。
イベントの様子は、イギリスのリベラルメディアにも取材して頂きました。
会社の枠を超えたnon-profitな活動にもたくさん関与してきました。
大麻作家として名高い長吉さんや大麻裁判中(*3)の焼き物作家の大薮さんなどと下北の気流舎(*4)で伝説の大麻映画Up in smokeの上映会をしたり、渋谷のロフト9で大麻映画祭も開催しました。
大麻文化にどっぷり浸った3年間でした。
このようにたくさんのコンテンツやプロダクトを出してきましたが、中でも特に記憶に残っているコンテンツがあります。
正高先生(医療大麻のお医者さんでラッパー)やブルドリのエイジュさん(大麻YouTuber)ともコラボさせて頂いたtokyo mooonのYouTubeに去年上げた1本のショート動画です。
インタビュイーに事前の打ち合わせなく、体当たりで大麻に関する街頭調査を行う単純な企画です。
投稿後、コメント欄はすぐに賛否両論の嵐、現在までに200万近く再生された動画コンテンツです。
日本では大麻についてのポジティブな使用体験を語るだけで、こんなにも注目が集まるのかと驚きました。
大麻の生涯経験率(2016年/2017年の調査)が極端に低い日本ならではの反応なように思えます。
G7における大麻の規制状況(2022年12月時点)はどうでしょう。
このように日本における大麻のリアリティは特異です。
日常の中に大麻が溶け込むニューノーマル(*5)な社会を想像できる日本人は少ないでしょう。
もともと私もその1人でした。
大麻文化にじっくり3年間傾倒。
結果、
私は今アメリカのオレゴン州にある大麻ファームにいます。
ここオレゴン州は医療用大麻を1998年、嗜好用を2015年に解禁した州です。
OFF Inc.はここオレゴン州に第二の拠点を構えることに決めました。
大麻で描くニューノーマルな未来
オレゴン州は大麻だけではありません。
2022年にサイケデリックス(*6)として有名なマジックマッシュルームの医療用途を全米で初めて合法化した極めて特異な州です。
こんなオレゴンには日本にとっての大麻の未来があります。
オレゴンで大麻のコンビニとも言われるほど社会浸透したディスペンサリー、Nectar(*7)では1ドルで1gのジョイントが買えます。
ところが、こんなオレゴンにも課題は実はまだまだあります。
州をまたいだ大麻の販売ができません。
飲食店では大麻の提供ができません。
大麻企業は銀行から融資を受けられません。
大麻にはアルコールよりも重い税金が課されます。
などなど
これらの問題の根底には、社会的なスティグマ(非科学的な思い込み)(*8)があります。
このスティグマを取り除いていく大麻のノーマライゼーションこそが社会に求められています。
昨年、大麻業界から初めて大麻ディスペンサリーのCookies CEOがForbes USの表紙を飾りました。
雑誌内ではCEOのバーナーが違法な時代から大麻を育て、販売していたエピソードが記載されています。
このように、グローバルでは大麻のノーマライゼーションは着々と進んでいます。
この大きなトレンドをラディカルに推進していきたいと考えているのがOFF Inc.です。
大麻に関する一般認識を究極的には
”Cannabis is just a plant.” (大麻はただの植物。)
という身も蓋もない事実に収斂できないか。
このレベルまで大麻のノーマライゼーションが完了した時、本当の意味で人類は大麻からウェルビーイングを享受できると考えています。
OFF Inc.はアメリカのオレゴン州と日本の東京に拠点を設け、世界的に見てもユニークな大麻企業へと大きく進化します。
オレゴンで東京発の大麻企業が直近どんな挑戦をしていくのか、YouTubeに投稿しました!
アメリカはオレゴン州に拠点をおくOFF US Inc.は大麻農園内にて、大麻フレンドリーな宿泊事業をスタートしました。以下のリンクよりご宿泊頂けます。
デバイスはオフ、他人の口には耳を貸さず、抜群なセッティングのオレゴンまで遊びに来てください !!!
Turn off, Tune out, Drop in !!!
採用:大麻スタートアップで働きたい方を募集中
フルタイム・副業・インターンで手伝ってくれる方を募集中です。
・大麻という急成長市場の中で商品に愛のある仲間と協働できる
・「0 → 1」を作るスタートアップ文化を経験できる
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少しでも共感いただけましたら、ぜひ以下よりご連絡ください!
注釈
(*1) シリコンバレー:
カリフォルニア州の北はサンフランシスコから南はサンノゼエリアのことを指す。
Apple創業者で、ビリオンダラーヒッピーのスティーブ・ジョブズが生前居住。
ヨーダはサンマテオに住んでいた。
(*2) エアビ:
Airbnb(エアービーエヌビー)という民泊サービス名の略。
自分の空き部屋を自由に貸し出したり、他人の部屋に宿泊できるサービス。
サービスローンチ当初から新しい宿泊体験のあり方に世間で物議を醸す。
シリコンバレー発の代表的なユニコーン企業(未上場で時価総額1000億円以上の企業の分類)だった。
ヨーダは2014年、大学時代に京都でLGBTQ向けにエアビのホストをしていた。
(*3) 大藪裁判:
2021年大麻所持で逮捕された芸術家の大藪さん。
「大麻取締法は憲法違反ではないか」と本質的な主張を展開し注目を集める現在進行中の大麻裁判。
ヨーダも前橋地裁での公判を傍聴した。
裁判の行方に注目が集まるが、大藪さんのアートも要チェック。
麻縄という日本古来より伝わる伝統的な道具を使って作る大藪さんの縄文土器はとにかく迫力がスゴイ。
大藪裁判の詳細はこちらをチェック。
(*4) 気流舎:
下北沢の対抗文化専門カフェ・バー&古本屋。
カウンターカルチャーに狂った人ほどマストゴー。
お店の名前の由来は、社会学者の真木悠介の『気流の鳴る音』という書籍より。
知的興味をそそるイベントを不定期で開催している。
ヨーダも「Up in smokeとは何だったのか」というイベントを開催した。
(*5) ニューノーマル:
コロナ中にやたら耳にした言葉。
日本語では新しい常識とか日常という言葉に変換されることが多い。
ヨーダは、大麻はニューノーマルなライフスタイルに欠かせない存在になると信じている。
(*6) サイケデリックス:
一般的にサイケデリックスとは、DMT、シロシビン、LSD、イボガイン、メスカリン、MDMAなどを指す。
CBDやTHCなどのカンナビノイドもサイケデリックスに含める場合もある。
日本語でも読めるサイケデリックスの有名な入門書に『幻覚剤は役に立つのか』がある。
この本にもあるように、ヨーダは、カフェインですらサイケデリックスだとみなしている。
数少ない日本のサイケデリックスの研究者の1人蛭川立先生は以下のようにサイケデリックスを定義している。
「サイケデリックス(psyche-delics)とは「無意識の意識化」を意味する。」
(*7) Nectar(ネクター):
オレゴンで最も店舗数の多い大麻ディスペンサリー。
ここに行けば、オレゴンの平均的な大麻のクオリティが分かる。
オレゴンの大麻価格は、グラム1ドル〜20ドル。
高級な大麻(トップシェルフ)は確かにトリップが異なる。
(*8) スティグマ:
国立精神・神経医療研究センターは以下のようにスティグマを解説する。
「スティグマは、日本語の「差別」や「偏見」などに対応しています。」
学術的には以下のフレームワークでスティグマを分析するようだ。
大麻に関するスティグマも問題は根深いことがわかる。
昨年の大麻規制検討小委員会でもスティグマに関しての記述が見られた。
「一方、薬物中毒者、措置入院を見直し、無用なスティグマ等の解消とともに、再乱用防止や薬物依存者の社会復帰等への支援 を推進していく必要があるのではないか。」
ヨーダは、スティグマは社会的な害だと考える。
スティグマのせいで、人間の自由や可能性が制限されるのは好ましくない。
参考文献
・大麻規制検討小委員会
・現在の薬物乱用の状況
・国立精神・神経医療研究センター スティグマについて
・スペクテイター〈34号〉 ポートランドの小商い
・蛭川研究室ブログ 精神展開薬(サイケデリックス)
ディスクレーマー
この記事は日本国内での大麻の所持や使用などを促す記事ではありません。
大麻の所持などに関してはお住まいの地域の法律に従ってください。
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